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地域医療の充足に関する調査

平成29年度 地域医療充足度調査

NPO法人艮陵協議会事務局
東北大学 災害医療国際協力学教授
江川 新一

平成29年度の6月に行った地域医療充足度調査結果を報告します。この調査は艮陵協議会の事業のひとつとして平成28年6月に研修医の動向調査とともに行ったものです。アンケートを送付した128病院のうち74病院(58%)から回答がありました。

1.病床数の合計

① 一般病床 23162床
② 療養病床 1186床
③ 結核病床 167床
④ 感染症病床 89床
⑤ 精神病床 557床
⑥ 合計 25161床

2.指定等の状況

(ア) 臨床研修指定病院(単独・管理型) 41病院
(イ) 臨床研修指定病院(協力型) 37病院
(ウ) 救急告示病院 50病院

3. Q1. 貴院での医師の充足状況は?  (は回答の平均値)

(ア) 医療法上

(イ) 実際の運営上

4. Q2. 貴院での実際の運営上必要な医師の充足状況の見通しは?  (は回答の平均値)

5. Q3. 貴院で標榜している診療科・実施している業務と、医師不足による現在あるいは将来の支障の有無(数字は該当すると回答した病院の数、割合は標榜数に対する%)

診療科・業務 標榜 医師不足により
現在支障をきたしている
将来支障をきたすと
予測される
1 内科 70 38 54% 36 51%
2 呼吸器科 49 29 59% 29 59%
3 消化器科(胃腸科) 59 28 47% 27 46%
4 循環器科 61 26 43% 25 41%
5 小児科 58 22 38% 26 45%
6 精神科 33 17 52% 14 42%
7 神経科 3 0 0% 0 0%
8 神経内科 46 31 67% 26 57%
9 心療内科 15 9 60% 8 53%
10 アレルギー科 7 3 43% 3 43%
11 リウマチ科 14 9 64% 5 36%
12 外科 66 23 35% 24 36%
13 整形外科 67 32 48% 29 43%
14 形成外科 28 4 14% 8 29%
15 美容外科 1 0 0% 0 0%
16 脳神経外科 49 25 51% 23 47%
17 呼吸器外科 27 15 56% 13 48%
18 心臓血管外科 30 17 57% 12 40%
19 小児外科 16 5 31% 5 31%
20 産婦人科 43 28 65% 24 56%
21 産科 7 3 43% 2 29%
22 婦人科 13 7 54% 8 62%
23 眼科 54 24 44% 25 46%
24 耳鼻咽喉科 54 19 35% 20 37%
25 気管食道科 3 0 0% 0 0%
26 皮膚科 52 24 46% 20 38%
27 泌尿器科 54 25 46% 25 46%
28 性病科 2 0 0% 0 0%
29 肛門科 8 1 13% 1 13%
30 リハビリテーション科 54 25 46% 20 37%
  放射線診断科 34 17 50% 16 47%
  放射線治療科 28 13 46% 11 39%
32 麻酔科 57 30 53% 29 51%
101 血液透析 12 9 75% 10 83%
103 訪問診療 10 8 80% 9 90%
104 検診・健診 25 9 36% 10 40%
その他(歯科口腔外科) 19 3 16% 3 16%
その他(糖尿病代謝科) 13 5 38% 6 46%
その他(病理) 21 11 52% 9 43%
その他(腎内) 7 3 43% 3 43%
その他(乳腺外科) 9 5 56% 5 56%
その他(救急科) 13 9 69% 8 62%
その他(血液内科) 7 4 57% 2 29%
その他(未熟児新生児科・生殖医療) 2 1 50% 2 100%
その他(腫瘍内科) 5 5 100% 4 80%
その他(内分泌内科・外科) 3 2 67% 2 67%
その他(緩和) 7 3 43% 3 43%
その他(感染症) 2 1 50% 1 50%
その他(総合診療) 4 3 75% 2 50%
その他(臨床検査科) 3 2 67% 2 67%
その他(ペインクリニック) 2 2 100% 1 50%
その他(漢方内科) 2 1 50% 1 50%
その他(消化器) 3 0 0% 0 0%
その他(老年) 2 1 50% 1 50%
その他(呼吸器・アレルギー) 1 0 0% 0 0%
その他(移植・食道・血管) 1 1 100% 1 100%

6. Q4. 医師充足のためには何が必要か?(自由記載原文のまま)

  • 初期研修も含めた大学医局との連携・学会の認定施設の取得
  • 経営の安定化とそれによる報酬の増額
  • 関連大学からの医師派遣
  • 新臨床研修制度の廃止
  • 当院の外科に関して言えば、高難度手術や緊急手術を行った時のインセンティブを付けることが必要。ただ忙しいだけで、医師個人の責任感だけに頼るのは限界がある。また、医師をリクルートする時にもインセンティブがあるとアピールしやすい。
  • 待遇の改善
  • 脳卒中の発症を減らす事。小学生からの生活習慣病の教育、テレビでの天気予報時の降圧剤内服のコメント等予防医学につきる。
  • 地域医療基本法の実現
  • 医師の適正配置を国が管理する
  • 定数制の導入
  • 大学の派遣に頼らない自院の医師の養成システム
  • 新専門医制度の中止
  • 国レベルでの地域ごと、診療科ごとの医師配置システム
  • 医師派遣はほとんどの大学の医局次第であり、引き続きお願いを続けるしかない状況です
  • 診療科により過不足が異なるため、不足している診療科を明確にして育成に力を入れる
  • 大学医局のマンパワーを拡大する
  • 民間の医師派遣会社を無くす
  • 都市部偏在の解消
  • 在宅医師の掘り起こしにつながる柔軟な任用制度の新設
  • 地方の中小公立病院への医師の配置につながる新たな養成制度
  • 関係大学との連携強化
  • 国の方針
  • 当院は高機能の病院であり、一度来ていただければ満足してもらえると思うが、見学者がいないことが問題
  • 大学との連携
  • 働きやすい職場づくり(勤務環境や勤務時間など)
  • 職務に合った給与体系
  • 研修支援
  • 地域住民の理解
  • 初期研修医の都市部集中の解消
  • 地方にも医師が配置されるような国の制度改正
  • 関連大学病院との連携
  • 大学医局との連携
  • 高度で良質な医療技術を学べる環境の構築
  • 最高の医療技術・サービスを提供できる設備投資を行い、医師が生きがいを持って働くことができる環境を整えること
  • 行政の医師確保支援
  • 大学医局からの医師の派遣
  • 地域の基幹病院からの医師の派遣
  • 地域(病院)偏在を是正するシステム
  • 医師のリクルートを可能にする病院間のネットワークづくり
  • 大学医局および他機関との連携
  • 専門医制度の整備とリクルート
  • 職場環境の改善
  • 大学からの若手医師派遣
  • 東北大学病院との連携の強化
  • 東北地域全体が医師不足により、すべての病院の医師が充足できないため、現在の常勤医による東北大学病院、他の病院とのつながりと診療応援の依頼ができる体制がこれからも必要
  • 若手医師、専攻医のための研修体制
  • 修学資金制度
  • 大学からの医師派遣
  • 新専門医制度においても修学資金等の医師の地域への定着促進
  • 医師の偏在解消
  • 特定の個人にのみ過剰な負担がかかることがないようにすること、そのためにはフレキシブルな時間管理ができる体制構築が必要と考えます
  • OECD並みの社会保障費とそれに対応した養成の長期的計画
  • 医師をはじめとした医療職の労働条件の改善(OECDやG7並に)
  • 行政や製薬資本から独立した医療職の自律性を尊重した仕組みの強化と充実
  • 医師が働き甲斐のある魅力的な病院とすること
  • 東北大学病院との連携強化
  • 医師が働きがいを感じられる職場環境を整えること
  • 後期研修医や若手医師の育成 等
  • 大学病院、医局で多くの人材を育成し、一般病院へ供給する。即ち、入局者を増やし仙台を離れるようにする
  • 専攻医が市内の病院で研修できるプログラムを作る
  • 若手医師の確保、福利厚生の充実
  • 若い医師が満足できる(やりがいが発揮できる)体制作り
  • 医師にかかる人件費の財源
  • 医療環境の整備(医療器材、施設等)
  • 永年にわたり解決されない課題である、医師の都市部偏在の解消
  • 専門医制度開始後も、市中病院で勤務しやすくする
  • 常勤医師の採用(現在は、東北大学、県立がんセンター及び県南中核病院より診療援助医師がきている)
  • 地域医療構想において病院の機能分担化が推進される中、医師配置の偏在をなくすべく、地域に密着した中小病院に勤務される総合診療専門医の育成支援と配置調整が必要と思われる。

7. 考察

ご回答いただいた施設の集計で、25161床(一般病床23162床)という規模で、北海道から東北、関東にいたる加盟病院における医師不足の現況解析が可能となりました。医療法上は医師数が充足していても、実際の運用上では不足していると回答した病院が多く、1,3,5年後の見通しもやや足りないとする平均値は変わりませんが、一方で3年後、5年後のことはわからないとする病院の数も増えています。

多くの診療科で現状の医師不足により支障をきたしています。内科系各科では約50%で、外科では昨年調査時には20%だったものが、35%で現状の医師不足により支障をきたしていると回答しています。さらに、外科系専門各科で50%以上の現状医師不足があります。とくに内分泌外科、乳腺外科は不足が顕著なようです。新専門医制度が確立されていく過程でどのように変化していくのかも注目されます。

血液透析をもつ病院の75%が現状の医師不足により支障をきたしていると回答しています。日当直の支障は母数となる日当直業務に回答していただいた施設が少なかったため正確な数字が把握できていませんが、救急科を標榜している病院の60%が現状の意思不足で支障をきたしていると回答しています。小児科、形成外科、婦人科、血液透析、検診・健診、糖尿病、未熟児・生殖医療などは将来の医師不足を懸念しています。

その一方で、昨年度の調査よりも改善している分野もあります。病理医は昨年度現状の医師不足により支障をきたしている病院が70%でしたが、今年度は52%に減少し、招来的にも充足度は改善されそうな見込みのようです。現状の医師不足による支障よりも、将来的に支障をきたすと見込まれる診療科の割合は減っている診療科が多いことから、医師充足を見込んでいる病院が多いようです。標榜している病院が少ない診療科では、現状の医師不足、将来の医師不足により支障をきたす可能性があり、地域医療のニーズに応えるため、多様な診療科をそろえた場合に医師の確保は大きな問題となっていることがわかります。

自由記載からは、地域医療を支えている加盟病院が問題解決にむけてさまざまな努力をされており、大学あるいは行政に求める要望が多く見受けられます。とくに新専門医制度に対する懸念が強いようです。艮陵協議会の指導医講習会では、『いい研修病院とはなにか』、『一人前の医師とは』『楽しく教育するにはどうしたらよいか』など関連しそうなテーマでグループワーク、ワールドカフェ、バズセッションなど多角的な議論を巻き起こす工夫をしています。医療従事者ができること、各病院でできること、行政を変えていく必要があることなどさまざまなレベルでの改善点があるものと思われます。

今後もこのような調査を継続的に行うとともに、ご意見を少しでも反映させられるようにするにはどのようにしたらよいかを皆さまとともに考えてまいりたいと存じます。

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