このたび理事長を拝命いたしました張替秀郎です。就任にあたり一言ご挨拶申し上げます。
NPO法人艮陵協議会は、卒後臨床研修の充実を図り、医師の養成と地域医療の発展に寄与することをその目的としています。元来、医師不足、医師偏在が顕著であった東北地方は、12年前の東日本大震災を契機に、地域医療を取り巻く環境がさらに厳しさを増しました。加えて、高齢化、人口減少など社会的環境も変化してきており、三者協から地域医療を支えてきた艮陵協議会への期待はこれまで以上に大きくなってきています。微力ながらその期待に応えるべく、尽力してまいります。
新専門医制度の開始から5年以上が経過し、少なくとも基本領域においてはこの制度が確立されました。医師養成においては、この制度に則った充実したプログラムの提供が必須です。東北大学病院では豊富な関連病院と連携した全19領域の基幹型専門研修プログラムを整備し、初期臨床研修と専門研修を、同じ指導体制のもとシームレスに一貫教育できる体制を整えました。今後も当協議会の加盟施設の皆様とともに初期臨床研修、専門研修、サブスペシャルティ専門研修プログラムを充実させ、優秀な人材が東北地方に根付き、発展を遂げるよう、より一層の卒前・卒後教育の体制強化を進めていきたいと思います。
我が国の医療は、高齢化の進展に加え、医療ニーズの多様化、デジタル化など、さまざまな課題が顕在化し、大きな改革期を迎えつつあります。その改革の一つである「医師の働き方改革」が2024年から実施されます。特例措置が認められる移行期間を経て、将来的に年間の時間外労働が960時間以下に設定されることになります。今後は、このような働き方改革を実践しながら、地域医療の確保、医師偏在の解消といった重要な課題に対応していかなくてはなりません。
これらの課題に対応しつつ、当協議会の目的である優秀な医師の育成、充実した地域医療の構築に貢献していきたいと考えています。会員の皆様におかれましては、将来の日本の医療のあり方にとって大変重要な時期であることをご認識いただき、さらなる連携強化に向けて、これまで以上のご理解とご支援を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。
NPO法人艮陵協議会
理事長 張替 秀郎